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小説

死を選ぶ権利ー『最後の医者は雨上がりの空に君を願う』(二宮 敦人・著)感想ー

少年時代に入退院を繰り返し、ただ生きるだけの日々を過ごしていた桐子。
だが、一人の末期癌患者との出会いが彼を変えた。
奇しくも、その女性こそ幼き福原の母だった。

彼女の命を賭けた願いとは? なぜ、人は絶望を前にしても諦めないのか?
再び、二人が「ある医者」との闘病に挑む時、涙の真実が明らかになる。

流転する時を越え、受け継がれる命が希望の未来を生むーー
読む者に生き方を問い直す、医療ドラマ第二弾。感動の完結編!
【文庫書き下ろし】

1作品目を読んでから、次作が出たのを知っていながら
なんだか読まずにそのまま4年経ちようやく読みました。

きっかけは、prime readingに上巻があったからでした。
もちろん下巻も即買って読みました。

最近本を読めてなかったのですが、この本は上下巻で3日間くらいで読めました。
面白くて一気読みできたくらいこの作者の文章は読みやすいです。

感想

3人の医師

今作は、3人の医師について詳しく描かれています。

福原と桐子は正反対の治療方針ですが、
なぜその考えに至ったのか、過去を知ることでだんだん見えてきます。

福原の父親である福原院長の過去も知ることで、
親子の溝の原因もわかって。。。

その人の考えや価値観は、今まで生きて見て感じてきたことが積み重なったもの。

一見わかりにくくてもそこには愛や思いやりが隠れているものなのかもしれないな、と
このシリーズ3巻を通して感じました。

死を前にして何を思うか

私は死を前にしたとき、何を思うのか考えさせられました。

逃げようとしてしまうのか、最後まで諦めずに生きようと思うのか。
そのとき何を思い、どう生きたいのかなんてわからないけれど、
後悔のないように今をしっかり生きていたいと思いました。

どの章のタイトルも、「〇〇の死」となっているので
死ぬことはわかっているのに、いや、わかっているからこそ
いろんなことを考えながら読めた作品だった気がします。

最後に

医療系の中だとかなり読みやすい小説なのではないかな、
と前作に引き続き思いました。

ただ思ったよりも親子の確執を描いた作品で、
なんだか読後は心がざわざわしました。。。
伝えないと伝わらないんだってことを、再認識させられたからかもしれません。

生きること、死ぬこと、もし誰かが死ぬかもしれないとわかったら。。。
そんなことを考えるきっかけになった物語でした。