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小説

見えないけどそばにある大切なものー『わたしの美しい庭』(凪良 ゆう・著)感想ー

凪良ゆうさんの小説は、『流浪の月』以来、2冊目です。

いろんな人の視点で語られるので、
ひとりひとりの中に答えがあり幸せのかたちがあること
再度、強く認識させてくれた物語でした。

百音ちゃんの言葉が子供だからこその真っ直ぐさで読み手まで届いて、
それもすごく良かったです。

クスッと笑えてほろりと泣ける心温まる物語。

感想

屋上神社と屋上庭園

萌音ちゃんたちが住む縁切りマンションの屋上には、
神社があってそこの庭園がすごく素敵です。

読んでいるだけで、色とりどりの風景が思い浮かんできます。

読んでいくとそれぞれの悩みを知っていくことになるので、
重苦しい話になりがちだと思います。

それが、この神社(庭園)があるおかげか
ゆったりとした気分でこの庭園のベンチに座って
読んでるような気持ちになりました。

自分の軸で生きていけば良い

誰かの意見や世間体に一喜一憂してしまうけれど、
何が正しいか、何が普通かは私自身が決めれば良い。

幸せの形は、一人ずつみんな違うんだ。

ってことを、読み終わって思いました。

特に、うつになった基くんの話が印象的でした。

自分自身にも、うつ症状みたいなものがしばらく続いた期間があったから、
苦しさがよくわかったし自分は真面目と思っていなくても
今振り返ると超がつくほど真面目だったなぁ、と過去を振り返ることができました。

基くんの周りに、百音ちゃんや統理くんたちがいて
本当によかったなと思いました。

変わりなく接してくれる人たちの存在って有難いし、
誰かが落ち込んでいたり調子の悪い時期に
変わらず接することって意外と難しかったりしますよね。

今、駆け抜けるように忙しい毎日を送っている方にも
響くのではないかなぁと思います。

人は疲れたら立ち止まっても良いんです。

最後に

生きていたらいろんなことがあるし、
みんないろんなことを抱えて生きているけど
誰だって他人の幸せは決められないし、誰だって幸せになることができるんですよね。

私も、何か大きく前に進みたいとき、屋上神社に行って縁をきりたいなって思いました。

楽しく読めました。
凪良ゆうさんの文章は、
題材は少し暗くても前向きで暖かい気持ちになるから不思議です。