いつから私はひとりでいる時、こんなに眠るようになったのだろう──。植物状態の妻を持つ恋人との恋愛を続ける中で、最愛の親友しおりが死んだ。眠りはどんどん深く長くなり、うめられない淋しさが身にせまる。ぬけられない息苦しさを「夜」に投影し、生きて愛することのせつなさを、その歓びを描いた表題作「白河夜船」の他「夜と夜の旅人」「ある体験」の“眠り三部作”。
吉本ばななさんの小説は、淋しさをやさしく溶かしてくれるのはなんでなんだろう。
疲れたときに読みたくなって、ホッとする。
これで良いんだと自分の中に答えを見つけられる気がします。
感想
全身で悲しみを乗り越えようとしているのかもしれない
3編からなる短編小説。
そのどれもが”眠り”に関したお話。
よく眠ることもあまり眠れないことも
全身でなにかを乗り越えようとしているときに起こることだと思う。
例えば私は、離れていってしまうかもしれない不安から眠れなくなり、
もう二度と会えないかもしれない悲しみで永遠のように眠っていた。
それは、振り返ってみればそうだったなぁと思っただけで、
当時は何故こんなにも眠ってしまうんだろう眠れないんだろうと疑問だった。
うしろめたかった。
この小説を読んで、あれで良かったんだなとうしろめたい気持ちが消えていった。
文庫版あとがきでは、人にはそういう期間が必要だと、著者が言ってくれている。
小説でも、読者を安心させてくれるけれど、
このあとがきがあるからよりもっと確信が持てた気がしている。
誰かを思う気持ちで溢れている
どなたかが江國さんのような小説だった、と書いていて本当にそうだな、と思った。
複雑な状況で誰かを愛し、その中で生まれる不安や愛しさや哀しさが、
いつもの吉本ばなな作品とは少し違った気がした。
わたしは、ひととの別れがこわくて大抵の人を信頼することができない。
そこまで強く信じてしまうようなひとができてしまったら、
かなしみに耐えられないかもしれない、と思うから。
でも、人にはそういう瞬間もあって良い、と思うことができたから、
わたしはこの小説を読んで自分に素直になれた気がする。
最後に
吉本ばななさんの小説は、悲しい出来事が起こるのに、
なぜか読み終わった後は元気になる。
わたしは、10年以上睡眠障害で睡眠にかなり波があるので、
読んでいて当時のことを少し思い出したりしました。
また読みたい小説です。
かなりひさしぶりの投稿で、書き方を忘れてしまいました。笑
また近いうちに更新します。