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"読みやすい"新書

誰にも気づかれることのない少年たちー『ケーキの切れない非行少年たち 』( 宮口 幸治・著)感想ー

児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、
「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。

少年院には、認知力が弱く、
「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、
問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。
人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、
困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く
超実践的なメソッドを公開する。

 

わたしは新書が苦手で池上彰さんの本しか読んだことがありません。

なのですが、
この本はタイトルが話題になってからずっと気になっていました。

発刊されてから1年ほどすぎていますが、
今更ながら読んでみました。




感想

意識することのなかった少年たちの存在

この本には、児童精神科医である筆者が医療少年院で
目の当たりにしたことが綴られています。

「ケーキを等分にきれない非行少年たち」

そんな彼らのような大勢の子供たちが抱える問題、
そして、今の学校教育の実情、変えて行かなくてはいけない日本の教育
について詳しく書かれています。

 

わたしは、学習意欲は幼い頃から高い方だったので、
勉強が苦手なクラスメイトたちについて
ときに関心を向けることはありませんでした。

なので、この本を読んで「境界知能」という
IQが低く”本当は”支援が必要な人たちのことについて
初めて関心を向け考えることができました。

問題があっても病院に連れてこられず、障害に気づかれず、
学校でイジメに遭い、非行に走って加害者になり、警察に逮捕され、
更に少年鑑別所に回され、そこで初めてその子に
「障害があった」と気づかれる、という現状があったのです。

 

たまに目にした、あの子たちはもしかしたら障害を抱えていたのかも、、、?
と、疑問を持てるようになっただけで世界は全然違って見えることもあるなぁ、
と気づかされました。




犯罪者を納税者に

この本を読んでいて個人的に一番ハッとさせられたのは、
犯罪者がきちんと働くようになれば納税される額がそれだけ増える、
ということでした。

平均的な勤労者の場合、消費税なども考慮すると、
大雑把に計算して一人当たり年間100万円程度は
何らかの形で税金を納めていますので、
一人の受刑者を納税者に変えればおよそ400万円の経済効果になります。

 

そうなれば、経済的に社会は良い方に向かっていくし、
もちろん被害者や加害者が減ればそれだけ幸せな人が増えるのではないか。

少し、理想論ではあるけれど、、、そんなことを思いました。




最後に

この本は、無知なわたしに新たな視点をくれましたが、
同じようなことを少し違う文章で何度も繰り返し書かれていて、
少し読むペースは落ちてしまいました。

他の方のレビューで、
「一部しか書かれていなくて、著者の意図と異なる読み方をされる可能性がある」
という意見もありました。

確かに同じようなことが繰り返し書かれていて
そこまで分厚い本でもないので、その可能性も確かにありそうだと思いました。

けれど、一つの実情を知ることで
今まで思いもしなかったことを考えるようになれたのなら、
それはそれで大きな収穫がある本なのではないかな、と思います。

 

興味がある方は、一度読んでみることをおすすめします。